40代の髪や頭皮はお肌の曲がり角を過ぎて、抜け毛、白髪、くせ毛などの髪のトラブルが発生しやすくなっています。
敏感になった40代の髪には、ダメージを抑えて、程よく洗い上げられるシャンプーつまり、
- 低刺激
- 低洗浄力(なるべく)
のシャンプーがオススメです。
では、シャンプーの洗浄力や刺激性はどこで見極められるのでしょうか?
シャンプーの成分の内、水などの基剤を除けば、そのほとんどを占める成分が界面活性剤です。
そして、この界面活性剤こそシャンプーの洗浄力や刺激性を決める主成分と言えます。
厳密に言えば、シャンプーは泡立ちなどによる刺激緩和剤とも言えるので、ここで言う刺激性とは、あくまで、界面活性剤特有の静電気力のみをさし、結論から言えば、現在日本のシャンプーに使用される界面活性剤の持つ刺激は、原則どれも低刺激、安心して使えると言えます。
でも、界面活性剤の種類によって『差』があるのは確かです。
ならば、なるだけ低刺激なものを選びたいですよね?
今回は、界面活性剤の種類の見分け方とそれぞれの特徴をご紹介します。
40代のくせ毛にはどんなものを選ぶべきなのか?探っていきましょう。
Contents
シャンプーの分類
シャンプーの売り場には色とりどりの華やかなボトルのシャンプーが並んでいます。
これらのシャンプーを分類するとしたらどこを見ればいいのでしょうか?
かわいいパッケージの表には「アミノ酸シャンプー」「自然由来」「石油系洗浄剤フリー」や「無添加」などの表示がありますが、参考にしてはいけません。
界面活性剤の種類を見極める表示は、裏面に記載されている全成分表示なのです。
界面活性剤とは、一般にかなり広域の定義を持っています。
では、シャンプーにおける界面活性剤はどういった狙いで使われているかというと、
主に、
- 汚れを水で流す洗浄
- 水を泡立て摩擦を軽減したり、シャンプーによる副作用的な刺激を軽減する洗浄補助
- そして、油性成分の乳化(水に溶かして分散させる)する
ために配合されています。
シャンプーにおいて注目すべきは洗浄、洗浄補助ですが、
今回は、シャンプーの主たる目的、「洗浄」に注目しましょう。
シャンプーの洗浄成分を主として担うのは、陰イオン(アニオン)界面活性剤です。
陰イオン(アニオン)界面活性剤はその種類によって、静電気力や洗浄力が違います。
ですから、シャンプーを洗浄成分で分類するには、全成分表示から、陰イオン(アニオン)界面活性剤を見つけ出し、それがどの種類の陰イオン(アニオン)界面活性剤なのか?を見極めなければなりません。
難しそうに思われるかもしれませんが、以外に単純で、コツさえ分かれば大まかな分類は簡単です。見ていきましょう。
全成分表示から、陰イオン(アニオン)界面活性剤を見極めよう
例えば、オススメのシャンプーの内の1つ、「ラスティーク」の全成分表示をのぞいてみましょう。
水、ココイル加水分解コラーゲンK、コカミドプロピルベタイン、コカミドDEA、ココイルメチルアラニンNa、ココイルグルタミン酸2Na、デシルグルコシド、グリセリン、ソルビトール、スクワラン、アルガニアスピノサ核油、ツバキ種子油、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン(羊毛)、加水分解シルク、白金、ヒアルロン酸Na、プラセンタエキス、フラーレン、レスベラトロール、ブドウ葉/皮/種子エキス、セラミドEOP、セラミドNP、セラミドAP、コレステロール、加水分解コンキオリン、ポリクオタニウム-51、(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー、カンゾウ根エキス、トレハロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、クエン酸、フィトスフィンゴシン、キサンタンガム、カルボマー、BG、マルトシルシクロデキストリン、シクロデキストリン、マルトース、コカミドMEA、ココイルアルギニンエチルPCA、ラウロイルラクチレートNa、PVP、ポリクオタニウム-10、ペンテト酸5Na、炭酸水素Na、エタノール、メチルパラベン、フェノキシエタノール、香料
どうでしょう、吐き気がしますよねw
ここで1つ目のコツ、全成分表示の記載ルールを利用します。
化粧品に分類される(医薬部外品でない)シャンプーは、
※ただし、1%以下は順不同で構わない!
というルールがあります。
ほとんどのシャンプーは成分の9割が水やDPGなどの基剤とアニオン界面活性剤です。
なので、極端な話、上位記載の2、3行を注目すれば陰イオン(アニオン)界面活性剤の種類の見極めができてしまうのです。
もうちょっと、丁寧に見極めるのならば、植物エキスに着目しましょう。
ラスティークの場合、
アルガニアスピノサ核油
ツバキ種子油
あたりです。
ほとんどの場合、植物エキス(オイル)の配合量は1%以下です。
つまり、陰イオン(アニオン)界面活性剤の種類を見極めるにおいて、1%以下の成分が影響を与える事は考えづらいので、それ以降に記載されてるものは基本無視して良い!と言えるのです。
なので、無視すると、、、
水 ココイル加水分解コラーゲンK コカミドプロピルベタイン コカミドDEA ココイルメチルアラニンNa ココイルグルタミン酸2Na デシルグルコシド グリセリン ソルビトール スクワラン
となります。
このうち、陰イオン(アニオン)界面活性剤は、
ココイル加水分解コラーゲンK、ココイルメチルアラニンNa、ココイルグルタミン酸2Na
で、その特徴と合わせて考えると
- ココイル加水分解コラーゲンK:PPT系の界面活性剤で、ほぼアミノ酸系と同じ。
- ココイルメチルアラニンNa:アミノ酸系の界面活性剤で、低刺激で低洗浄力
- ココイルグルタミン酸2Na:同じくアミノ酸系の界面活性剤
といえ、
これにより、「ラスティーク」は、主たる洗浄成分が
「ココイル加水分解コラーゲンK」なので
洗浄力は低く、低刺激なアミノ酸系シャンプーと推測できるといえるわけです。
実際は、配合量によって推測通りであるとは限りませんが、そこまで推測が外れるという事は経験上滅多にありません。
では、ここからは例えば、どうしてココイル加水分解コラーゲンKがアミノ酸系陰イオン(アニオン)界面活性剤と分別できたか?について解説していきます。
陰イオン(アニオン)界面活性剤の種類と特徴!
先ほどの、ラスティークの成分表示から想像のつく方も多いかもしれません。
そう、アミノ酸系界面活性剤には、
ココイル加水分解コラーゲンK、ココイルメチルアラニンNa、ココイルグルタミン酸2Na
と「ココイル」、あるいは今回はありませんでしたが、「ラウロイル」から始まるといった特徴があります。
ただし、この方法による分類はテスト対策のような裏技的分類法ですw。
正しい分類法を、一応紹介しておきます。
例えば、ココイルグルタミン酸2Naは、名前の中にその構成成分がとうぜん全部記載されています。
陰イオン(アニオン)界面活性剤は、水と馴染む部分(親水基)と水から逃げ、油と馴染む部分(疎水基 別名:親油基)で出来ていて、それがそのまま名前になっています、つまり、
疎水基がココイル(ココナッツの事)でできている
ことを表します。
そして、親水基が、グルタミン酸といったアミノ酸で出来ているからアミノ酸系と呼ぶ訳です。
コラーゲン、メチルアラニンもアミノ酸に分類されますから、ココイルメチルアラニンNa、ココイル加水分解コラーゲンKもアミノ酸系界面活性剤と分別します。
このように、正しく分類するには、親水基が何で出来ているのか?で判断するのが正しいのですが、それは難易度が上がります。例えば、すべてのアミノ酸系を見極める場合、アミノ酸の種類をたくさん覚える必要があるからです。イヤですよね?
なので、アミノ酸系のもう1つの特徴、疎水基の名前、ココイル(ココナッツの別名)、もしくは、ラウロイル(ココナッツの成分の一部)がついていれば「推定アミノ酸系といえる!」として分類する訳です。裏技でしょ?
でも、シャンプーにおいては、このテクニックがほぼほぼ通用するはずなのです。
このテクニックは、アミノ酸系以外の他の種類の界面活性剤にもあり、そのルールを覚える事ができれば、すべての陰イオン(アニオン)界面活性剤は名前の特徴で分類することができます。
それではいよいよ、それぞれの陰イオン(アニオン)界面活性剤の分類方法とあわせて、その特徴を見ていきましょう。
カルボン酸系
親水基に「カルボン酸」といわれる系列の原料を使用しているシャンプーの総称です。
進化しない道を選んだ石けん系、低刺激に向け進化したお酢系と、特徴が全くちがう2種の系統に分けられます。
石けん系
いわゆる「石けんシャンプー」です。
シャンプーの場合、成分表示には、ほぼ「カリ石けん素地」と表記されています。
泡立ちが良く、洗浄力が高く、高刺激です。
カルボン酸系洗浄成分の持つ低刺激性のポテンシャルは高いのですが、『進化しない』(手を入れない)ことで、その他の陰イオン(アニオン)界面活性剤のなかで、最強とも言える刺激性を残しています。
お酢系
進化しない分かりやすさを徹底したのが石けん系ならば、カルボン酸系の持つ低刺激性ポテンシャルを最大限に引き出し進化し続けているのが「お酢系シャンプー」です。
石けん同様泡立ちが良く洗浄力が高いにも関わらず、低刺激です。
成分表示ではラウレス-3酢酸アミノ酸(リシン)やラウレス-3酢酸ナトリウム、ラウレス-4カルボン酸Naなどと表示されています。
と覚えましょう。
硫酸・スルホン酸系シャンプー
親水基に硫酸やスルホン酸を利用した界面活性剤です。
シャンプーとしての歴史がもっとも深く、安価で今でも根強い人気があります。
が、その分シャンプー界のヒール(悪役)とも言えるほど叩かれる側面もあります。
硫酸系
成分表示ではラウリル硫酸Na、ラウレス硫酸Naなどの表記となっています。
と覚えましょう。
高い洗浄力と泡立ち、その分比較的刺激が高いといえます。
ただし、あくまで他のシャンプーに比べて「比較的高い」であり、ラウレス硫酸ナトリウムの安全性は高いです。
スルホン酸系
ラウリル硫酸Naから続く、あまりにも根深い悪評を払拭するために、代用されるようになったのがオレフィンスルホン酸Naと呼ばれるものです。
ですが、オレフィンスルホン酸Naは刺激性洗浄力ともに、ほぼほぼラウレス硫酸ナトリウムと同じです。同じものと考えましょう。
成分表示ではオレフィンスルホン酸Na、オレフィン(C14-16)スルホン酸Na、α-オレフィンスルホン酸Naなどと記載されています。
と覚えましょう。
アミノ酸系シャンプー
親水基がアミノ酸で出来ている物を「アミノ酸系シャンプー」と言います。
また、タウリンというアミノ酸ととても近い構造をもったものを親水基に持つものも、アミノ酸シャンプーと呼ぶことがあります。
さらに最近では、加水分解タンパク質(アミノ酸のこと)を原料に界面活性剤を作ったアミノ酸界面活性剤を特別にPPT系シャンプーと呼んでいるようです。
純粋アミノ酸系
グルタミン酸、アラニン、グリシン、サルコシンなどのアミノ酸を親水基に持つ界面活性剤です。
成分表示での表記ではラウロイルメチルアラニンNa、ココイルメチルグルタミン酸Naなどとややこしい成分名が多いです。
と始まるものをアミノ酸シャンプーと覚えましょう。
アミノ酸の種類によって多少洗浄力刺激性は違いますが、
総じて泡立ちが少なく、洗浄力は低い傾向にあります。
低洗浄力は、新陳代謝が落ちてきて、頭皮が薄く潤いを失いやすくなった40代の女性にはオススメのシャンプーです。
タウリン系
親水基にタウリンをもつ界面活性剤です。
成分表示ではココイルメチルタウリンNa、アシルメチルタウリンNa、ココアンホプロピオン酸Naなどです。
タウリン系と覚えましょう。
タウリン系はアミノ酸系のなかでは、洗浄力が比較的高い傾向にあります。
基本的に主成分となる事はほとんどなく、泡立ちの調整剤として補助的に配合されることが多いです。
PPT系
アミノ酸系の界面活性剤の全成分表示での記載方法を変えたもので、実質アミノ酸系です。
成分表示では、ココイル加水分解コラーゲンK、ココイル加水分解コラーゲンNa、ラウロイル加水分解シルクNaなどと表示されています。
「ラウロイル~」「ココイル~」「ココアンホ~」と始まるものの一部を
PPT系とも呼ぶ事を一応覚えておきましょう。
低洗浄力低刺激であることもアミノ酸系と全く同じです。
両性界面活性剤が入ったシャンプー
最近では、陰イオン(アニオン)界面活性剤以外の界面活性剤を主役とするシャンプーも多くなってきています。両性界面活性剤です。
両性界面活性剤の特徴は、周囲の環境によってイオン性を変える性質があることです。そのおかげで、基本片寄ったイオンを生じず、タンパク質への刺激が少ないので、とにかく低刺激である傾向があります。
中性では、イオン化せず、刺激の少ない洗浄剤として活躍し、陰イオン(アニオン)界面活性剤と一緒になれば、ともに洗浄剤としての機能を手伝い、陽イオン(カチオン)界面活性と一緒になれば、髪の柔軟効果、陰イオン(アニオン)界面活性剤の刺激を和らげる、といった効果を発揮し、万能性を持っています。
そんな万能性を期待して、主成分ではなく、泡立ち向上などの洗浄力補助効果の目的で、あらゆるシャンプーに補助剤として使用されていることも多いです。
ベタイン系配合のシャンプー
前述のように、ベタイン系の界面活性剤は、中性では、刺激がほぼ皆無な傾向にあります。
そのため、ほとんどの場合、これまでご紹介した様々な陰イオン(アニオン)界面活性剤を配合したシャンプーに泡立ちの向上、刺激緩和など補助的に配合されていることが多いです。
つまり、洗浄補助成分としてベタイン系の両性界面活性剤が配合されている場合、タンパク変成の危険性をほとんど変えないまま、『泡立ち』=『本来の洗浄力の伸びしろ幅』を広げることができる!ということです。
素晴らしいですね。
原料はラウリン酸アミドプロピルベタインやラウリン酸アミド酢酸ベタインなどで、成分表示では、コミカドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタインなど、
「~ベタイン」
という表記をもつものです。
最近、時々見かけるベタイン系のものを主たる洗浄成分でできたベタイン系シャンプーがいくつかあります。他の配合成分によって性質を変える両性界面活性剤を主成分に置くシャンプーは,予想のつきづらい超上級者向けのヘアケアと言えるのかもしれません。
こうなると、使用感が物を言いますねw?
ベタイン系を主たる洗浄剤とするシャンプーは見つけ次第、個別にご紹介していきます。
シャンプーの分類まとめ
現在、市販されているシャンプーの界面活性剤は、成分表示を見る事で、紹介した6種のどれかにおおよそ分類できます。40代におすすめなのは、お酢系、アミノ酸系、タウリン系、スルホコハク酸系、ベタイン系の低刺激系界面活性剤です。特徴を表にまとめましたので参考にしてください。
成分表示 | 肌刺激 | 洗浄力 | 泡立ち |
---|---|---|---|
陰イオン(アニオン)界面活性剤 | |||
石けん系(カルボン酸系) | |||
カリ石けん素地 ヤシ脂肪酸カリウム ラウリン酸カリウム |
少ない | 高い | 泡立つ |
お酢系(カルボン酸系) | |||
〜酢酸アミノ酸 〜酢酸Na |
かなり少ない | かなり弱い | 泡立つ |
硫酸・スルホン酸系 | |||
ラウリル硫酸〜 ラウレル硫酸〜 〜スルホン酸 |
強い | 高い | 泡立つ |
アミノ酸系 | |||
ラウロイル〜 ココイル〜 ココアンホ〜 |
少ない | 弱い | 少ない |
タウリン系(アミノ酸系) | |||
〜タウリン ココアンホプロピオン酸Na |
かなり少ない | かなり弱い | 少ない |
両性界面活性剤 | |||
ベタイン系 | |||
〜ベタイン | かなり少ない | かなり弱い | 少ない |