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もう1つのくせ毛対策、頭皮を守って質の良い髪を生もう
髪はダメージを受けると自分から補修する事はありません。ですから、生まれたての髪をいかに守るかが、くせ毛の悩みの軽減のカギでした。
だったら、そもそもの生まれてくる髪の潤いをもっと充実させる事が出来れば、『更なる美髪』を手に入れられますよね?
今回はどうすれば上質な髪が生まれるかのカギ、髪を生む環境を守る角質層についてご紹介します。
髪の潤いの条件は、髪の中身、充実したタンパク質です。
特に大事なのは、タンパク質を維持する役割を持つCMC、セラミドです。
しかし、CMCの生成は加齢によって減少し、不足しがちです。
主な原因は、頭皮の潤い不足による血行不良により、毛髪を作る栄養が不足する事などがあります。
ですから、バランスの良い食事、安定した睡眠などなど、食生活ももちろん大切なのですが、いくら栄養や睡眠をとっても、肝心の頭皮の状態が悪いのでは、さまざまな刺激をまともに受けてしまい、結局血行不良を引き起こしますし、炎症などのダメージを受けた毛穴ではタンパク質の充実した毛髪を生み出すのは難しいのです。
人1人の血管の全部をつなぎ合わせた長さは、地球2週分10万キロとも言われています。そのくらい細かく密集していると言う訳です。ですから、その先端まで、血流がしっかり行き届いているかというと、40代には非常に難しいです。
きっちり血圧のかかる毛細血管を維持するには、血液の通りやすい太い毛細血管が必要です。
これを維持するには、かかと運動などが有名ですが、そうして手に入れた血管を守るのは角質層です。
そこで、今回注目するのは、『角質層』はどうやって私たちの体を守っているのか?です。
それを明らかにする事で、頭皮の保護の仕方、シールドの補充の仕方について考えていきます。
角質層のケアの基本は余計な刺激は避けること
化粧関連のケアのあるあるですが、美を求める事は、本来のからだの機能を『守る』ことが有効な場合が多いですよね。これは、そもそも体は美しくあるための機能を持ち合わせている、言い方を変えれば、人は健康である事を美しいと感じる感性を持っているとも考えられますね。
では、頭皮の美しい健康をたもつ為のシールドとは何かというと
- 髪の毛
- 皮脂膜
- 角質層
- 常在菌
主にこの4つからなっています。
これらを正常な状態に保つ事が出来れば、体は言われずとも自ら美しい髪を作り出してくれるのです。
今回特に注目するのは角質層です。
角質層はお肌の表面、たった0.02㍉程のシールドです。
このたった0.02㍉程のシールドは、見かけ以上の強さを持っていて、それ故に、想像以上に大切な役割をもっています。
たとえば、皮脂膜や常在菌などのシールドは、シャンプーなどによって簡単に破られますが、皮脂膜や常在菌は、新たに生まれる皮脂のおかげで割と短時間で復活出来ます。これは、角質層が最後の砦となって、皮脂を健全に抽出する環境を守ってくれる事が1つの要因となっています。
このため、角質層のケアこそ、まず一番に確保するべき頭皮のケアといえるのです。
通常、角質層が刺激の突破を許す事も、破壊されることもまずありません。
ただし、ある条件で急激に弱ることがあります。
それは、お肌の潤いを保てなくなることです。お肌は、水分と油分を上手に利用して丈夫さを保っているからです。ですから、保水力さえ保てれば角質層のシールドは強固に保てると言えます。
ところが、年を重ねた40代は、血行の悪化、生成出来るセラミド量の低下などによって、保水力の低下にさいなまれがちです。どうしても、保水力をたもつ事は難しくなって来ています。でも、考え方を変えれば、簡単に保てない保水力だからこそ、なんとか角質層を守る事ができれば、絶大な効果が期待できますよね?
角質層を守るとはどういう事なの?
角質層は、角質細胞と水分、そして細胞間脂質で出来ています。
角質層の強弱が、潤いと密接に関わっていると言われている理由は、角質層という強固なシールドが、細胞間脂質であるセラミドによる水分を保持する力の上でなりたっているからです。ここで強調したいのが、シールドを成り立たせているのは、『水分』では無く、あくまで『セラミドの保水力』であることです。
セラミドが不足して潤いを失った肌に、いくら水分を与えても、すぐに蒸発してしまい、ほとんど意味が無いということです。水分だけでは、シールドとしての機能も充分ではありませんし、そもそも角質層を維持出来ません。
ですから、角質層を守ると言う事は、角質層のセラミドを守ると言う事なのです。
角質層のかなめ、セラミドのラメラ構造
お肌は、表皮の奥の奥、基底層から生まれる細胞が次から次に押し上げられていく事で成り立っています。生み出された細胞は、押し上げられるうちに変化していき、その細胞の状態によって、特徴が変化していくため、4層に分けて呼ばれているのです。
角質層は細胞の最終形態の層と呼べ、表皮のバリア機能の要となっていて、ここで役割を終えた細胞が垢になって体から離れていくのです。
※その上の皮脂膜は、汗と皮脂によって形成される角質層の細胞を守るための別シールドです。
この角質層は、角質細胞とその間を埋めるセラミドと水分であり、角質層を成り立たせているのは、あくまでセラミドの保水力でした。
保水力だけで角質層を成り立たせるとはどういう事かというと、それは、角質細胞どうしの間を、セラミドと水分でラメラ構造と呼ばれる水分の層と油の層を交互に繰り返すことで、つなぎ合っているからです。
ラメラ構造は簡単に言うと、水と油、お互い反発し合って形成していて、ミクロの世界で、こんな複雑で精密な構造を形成出来るのは、セラミドが非常に小さな油で出来ていることに起因します。これにより、セラミドは水とも他の油成分ともなじまず、追い出されるように追いつめられてラメラ構造を形成できるのです。
そうやって形成されたラメラ構造は、角質細胞をバランス良く守り、柔軟な防御壁を産むクッション剤ともなります。このクッションがいわゆる、肌の張りとなるのです。
そして、ラメラ構造のもう1つの役割こそが、何より大切なものです。
刺激の侵入を防ぐシールドとなって角質層そのものを守る。角質層を成り立たせると言うことです。
ラメラ構造は、水の層が油系の刺激を、油の層が水系の刺激を弾くことで、刺激を角質層で止めることができます。
もしも、何らかの要因で、例えばセラミドが不足するして、水分を抱えきれなくなったなどが起き、ラメラ構造のバランスが乱れてしまうと、シールドの弱体化を引き起こします。
これにより、肌奥地への刺激が心配されますが、まず角質層そのものがみるみる弱っていき、おおげさに言えば最終的に角質層そのものの崩壊へと繋がっていくのです。
細胞間脂質はどうやってまもるの?
角質細胞を守ると言う事は、十分なセラミドをしっかりと保ち、守るという事です。
潤いとは、あくまでその結果として得られるハリのある美肌とシールドです。
では、お肌のセラミドを奪う刺激とは何でしょうか?さまざまな要因があがりますが、一番に上げられる理由が、過度な洗浄です。
例えば、石けんです。石けんで顔を徹底的に洗ったら、顔が突っ張った感じになった、なんて経験ありませんか?これは石けんが、アルカリ性+そもそも高洗浄力であるため、その相乗効果によってセラミドまで奪ってしまった可能性が高いと言えます。
このように極端に洗浄力の高い、もしくはアルカリの強い成分を利用して、必要以上に洗浄してしまう事は保水成分、セラミドを奪う心配があります。
もちろん通常の状態で、そこまでの心配はいりません。しかし、失われたセラミドはすぐに回復はしてくれずダメージとして蓄積していきます。蓄積したダメージは直接シールドの弱体化につながるため、洗浄のたびに、ダメージは加速度的に増大していきます。
もちろん細胞はつぎつぎに生み出されていく為、復活というか新鋭の細胞がつぎつぎに補充されていきます。そのサイクルはターンオーバーと呼ばれ、平均28日で細胞は入れ替わると呼ばれているので、ターンオーバーが活発な若いうちは、ダメージの蓄積によってそこまでの問題を生じることはありません。
ところが、28日と言うのは、成人くらいの若いうちの数字で、ターンオーバーは年齢とともに遅れていき、年齢×1.5日程度かかるとしたデータもあります。ですから、40代ともなれば60日前後かかる可能性も見込める為、回復しきれない頭皮が、さまざまなトラブルを抱える心配があります。
そんな弱った頭皮では、タンパク質のつまった潤い髪を作るのは困難です。
ですから、お肌の洗浄はもちろん、洗髪もなるべく低刺激になる事を意識する必要があるのです。
具体的にどうするかと言えば、低洗浄力で肌や髪と同じ弱酸性のシャンプーを使い、なるだけ短時間で優しく洗い上げることです。
ところが、優しく洗い上げることは、残留成分を残す恐れがあるという弱点を持っています。
皮脂の残留と言うのは、あんまり考えられないのですが、ここでいう残留成分とは、化粧品やシャンプーやトリートメントに含まれるさまざまな成分の事です。いくらセラミドを残せる程優しく洗い上げられたとしても、残留した成分が悪い方に変化し、頭皮のトラブルを招いたら元も子もないですからね。
こうして見るとかなりややこしい。これじゃあ、八方ふさがりかというと、そんな事はありません。残留成分となりうる成分をなるべく含んでいない化粧品を選んで、低洗浄力にこだわる。もしくは、セラミドを補充するヘアケアを取り込んであげれば良いのです。
そう、セラミドは補充出来ます。
セラミドを増やすヘアケア成分
不足したセラミドを増やすには、ずばりセラミドの配合されたアイテムを使用する事です。
なんだそんなことか!と思うかもしれませんが、1つ注意が必要です。
一口にセラミドといってもさまざまな種類があり、それぞれ期待出来る効果が大きく異なるからです。
結論から言うと成分表示に、セラミド1やセラミドEOPと、セラミドと数字(旧表示)、もしくはアルファベット(最近はこっち)で記載された物が掲載されていれば、セラミドの生成を促すなどの、セラミド補充が期待できる商品と言えます。
これらのセラミドの総称をヒト型セラミドと呼び、これは人の体に存在するセラミドとまったく同じ物です。
では、ヒト型セラミドではない、言うならその他のセラミドはなにかというと、主に天然セラミドよばれるものです。
馬の脊髄や植物から得られるセラミドですが、これらは、人の体のセラミドとは違う物で、ヒト型セラミドほどの効果は期待で来ません。
これらの天然セラミドを配合された製品は、よくパッケージで(天然)セラミド配合!と記載があるので、ヒト型セラミド製品と混同しやすいですが、区別するのは簡単です。パッケージの裏の全成分表示では明確に区別されて表示する義務があるからです。
ですから、真にセラミドの補充を求めるのであれば、パッケージではなく全成分表示をしっかり確認して、セラミドと数字、もしくはアルファベットで記載された物がちゃんと配合されているかチェックして、区別して購入しましょう。
ラメラ構造を守り、セラミドを補給して充実した髪を生み出そう
多くの化粧水が『枯れたお肌に潤いを』といったニュアンスの言い回しを好みます。
これは、お肌にまとわりやすいように調整されたお水を化粧水として売る為です。
化粧水には、セラミドなどのお肌の保水力を上げる成分が入っていないもの、少量なものが多く存在し、それでいて結構高価だったりします。
この手の化粧水は、使用後、お肌の潤いを一定時間保つ事が出来て、しっとり感やハリ感を演出する事が出来るのでその効果を保水力と勘違いして満足してしまう方も多いのです。
もちろん、お肌の細胞間脂質はセラミドと水分、2つ揃って初めて形成され、シールドとして機能するため、低湿度や低温状態が続けば、水分が不足する可能性はあり、多少のシールド機能の低下は心配されるので、この手の化粧品がまったく効果がないとは言えません。
しかし、この手の化粧水は、細胞間脂質の補給にはまったく効果が期待できません。
いくらくっつき広がる力をもったお水でも、所詮ただのお水だからです。
セラミドの補充を狙うのであれば、そんじょそこらで手に入らないヒト型セラミドが配合された製品が必要不可欠で、先述したお水、いわゆる保湿水は、ヒト型セラミドありきの商品と言えます。
頭皮を守ると言う事は、
- 残留成分を残さない程度で、なるべく低い洗浄力をもった弱酸性シャンプーを選び、優しく洗い上げることでラメラ構造を守る
- ヒト型セラミドが配合されたヘアケア商品を選び、保水力の補充を狙う
ということが大切になります。
頭皮を守る事で重要なのは、保湿(お水の補給)するのでは無く、保水力を向上させることと言う事です。
角質層を守ると言う事は、頭皮という髪を作る工場のライフラインを整える事とも言えます。
頭皮にまで気を配るヘアケアは、美しい潤い髪を作るヘアケアとしてマニアックとも言える一歩踏み込んだくせ毛対策になりますね。
ですから、あくまで、髪の潤い守るを土台として合わせて狙っていくことで、パーフェクトな潤い髪を目指しましょう。