「無添加」と呼ばれる商品、よく目にしませんか?
- 無添加食品
- 無添加住宅
- 無添加石けん
などなど
実に様々なジャンルの業界で使われていますよね。
コレだけ幅広く、かつ根強く使用される『無添加』は、私たち消費者に対して、とっても効果的な広告と言う証明でもあります。
でも、無添加の本当の意味を考えてみてください。
- 「添加」が無い。
そう、ただ単に何らかの成分を添加していないという意味なんです。
ところが! 無添加の広告を思い出してください。何が添加されていないか? 私たちは全く意識して見てなくありませんか?実際、無添加という言葉にだけ好印象を受けて商品を選ぶに至っているユーザーが実に多いそうです。
だからこそ、無添加をアピールする商品は、何を無添加にしているか? すんごく小さく下部に※印つきで記載するに留まっているのです。
しかも、そうして使用されなかった添加物が必ずしも刺激物とは限らないない!といった衝撃の真実すら現実に存在します。
シリコーンがその代表格で、実際には安全な成分すら添加物に指定されている事があるのです。
では結局、無添加に置ける「添加物」とは何か? それは、
一般に嫌われている成分
もしくは
他の商品と強引に差別化を計るためのメーカーにとって嫌ってほしい成分
であると言えてしまいます。
無添加以外にも、
ノンシリコン
ノンカチオン
ノンパラペン
などなども同じですね。
少なくとも、「無添加」というだけでは必ずしも安全を保証するものではないのです。
ですから、本当に私たちがイメージするような低刺激商品を求める方にとって、大切な事は『無添加をうたう商品を選ぶ事』ではなく、『何を添加していないか』を見極めて選ぶことです。
こうした無添加広告がはびこる最近の市場ですが、その中でもシャンプー市場は、無添加広告の宝庫といって過言ではありませんw
真に商品を見極めるため、シャンプーの無添加広告の実体を見ていきましょう。
Contents
無添加広告の意図とは?シャンプーにとっての添加物って何?
無添加広告の意図はズバリ、消費者にとっての分からない成分による恐怖を利用した差別化営業と言えます。
シャンプーは、配合成分が複雑、かつ難解です。そのため、消費者のほとんどは、シャンプーの成分が分からないまま使用していますよね?分からないものは、刺激性や環境破壊の心配といった何よりの恐怖を引き起こす材料になります。
この恐怖を打ち消すために、『自然由来』や『ボタニカル』といったナチュラル思想のイメージ営業が私たちにとっても刺さりやすく利用されている訳ですね。
こういったナチュラル思想よりの広告は、難解なシャンプーの成分が引き起こす無駄な恐怖を沈めて安心させてくれるための広告といえ、個人的にはそこまで否定する気持ちにはならないのですが、『無添加』広告は行き過ぎた広告と言えます。
なぜならば『無添加』は、一部の成分を悪者にして、他のシャンプーの恐怖を煽って差別化を計る、けっこう悪質な広告と言えるからです。
では、実際に無添加がどう広告で使用されているか見ていきましょう。
シャンプーの無添加広告は意味不明。無視しましょう!
※ダイアンボタニカルの公式サイトから引用
上の画像は私が今、たまたま検索してヒットしたシャンプーの広告です。
※ダイアンは比較的優秀設計の良いシャンプーです。
また、無添加広告は、ダイアンだけでなく、ほとんどのシャンプーに見られる広告で、ダイアンはあくまで分かりやすくするための参考の一例として見てください。
凄く大きく「無添加」と記載があり、
下に小さく
不使用:サルフェート(ラウレス硫酸Naなど)、パラベン、合成色素、鉱物油、石油系界面活性剤、エタノール、動物性原料(微生物由来原料・はちみつを除く)
と表示されています。
この広告で本当に大切な情報は、無添加ではなく※の部分ですね?
つまり、「サルフェート、パラベン、合成色素、鉱物油、石油系界面活性剤、エタノール、動物性原料を使っていません!」が私たちが、本当に知るべき情報で、
大きく表示されている「無添加」には、意味はまったくといって良いほど無いワケです。
では、今回入れてない!とアピールされているパラベンやエタノール、動物性原料というのはそこまで悪い成分なのか?見ていきましょう。
サルフェート
硫酸イオンを英語で「サルフェート」と呼びます。
では硫酸イオンとは何かというと分子構造中にSO4をもつ物の総称、、、、シャンプーにおいて平たく言うと
ラウレス硫酸ナトリウム
ラウリル硫酸ナトリウム
オレフィンスルホン酸ナトリウム
といったいわゆる、タンパク質への刺激が若干高い硫酸スルホン酸系界面活性剤を差します。
といっても、これらの比較的刺激の高い界面活性剤は、相当に弱った『髪』ならばともかく、頑丈な『頭皮』を破壊するほどの刺激ではもちろんありません。
パラペン
防腐剤の1つです。殺菌作用があるため刺激が心配されます。ですが、配合が無いとシャンプーは腐ります。
腐ったシャンプーの刺激は防腐剤以上の心配があります。そのため、法律はシャンプーに一定期間品質を保証する義務を設定しています。また、同時に防腐剤についても漠然とはしていますが危険性を認めていて、配合量の最大値に規定が設定されています。
合成着色料
化学的に合成された色素です。
発ガン性・アレルギー性などが指摘されています。その原因も証拠もハッキリした根拠は皆無、ただし使う必要も無いので、当然敬遠されています。
鉱物油
地下資源を材料として出来た化合物の総称、普通は炭素と水素だけでできた炭化水素のみを差し、悪意を持ってみる場合は、炭化水素と不純物が混じった成分をさします。
石油コンビナートなどの公害による石油系成分の持つ悪いイメージがついて回りますが、根拠はありません。シャンプーで鉱物油無添加を言う場合は恐らくシリコンを配合していない事をアピールしているのだと思います。が、シリコン自体は無害です。
石油系界面活性剤
石油由来の界面活性剤、平たく言うとサルフェートと同じく硫酸スルホン酸系界面活性剤の事ですね。
エタノール
お酒です。殺菌、消毒効果があります。
動物性原料
動物から取れる原料、、、、まんまですねw 植物由来の方が良い!と対比されがちですが、なんの根拠もありません。
いかがでしょう。サルフェートやパラベン、合成着色料、エタノール無添加まではなんとか納得できますが、鉱物油や、動物性原料なんかは、なんでわざわざ無添加アピールをするのか意図不明ですよね?
しかも、この無添加広告の悪いところは他にあります。
「パラペン」無添加、「石油系界面活性剤」無添加、ということは「防腐剤も刺激のある界面活性剤を使っていないのか?」というと、別の形でちゃっかり配合されている! という点です。
防腐剤には、フェノキシエタノール。界面活性剤には、ココイルグルタミン酸2Naという比較的低刺激な界面活性剤が使用されています。
石油系界面活性剤とアミノ酸界面活性剤には、肉体に与える影響差としては、わずかとはいえ確かな差があるのでまだ若干の良心が伺えるものの、結局、刺激が無いとは言えないアミノ酸系界面活性剤を入れてるのですから無添加は若干ずるい広告ですよねw
でも、もっと許せないのは『防腐剤』における無添加広告です。
無添加広告の無意味さは、『防腐剤』において掘り下げる事ではっきり見えてきます。
見ていきましょう。
防腐剤からみる無添加広告の正体
パラベンは「防腐剤」です。
菌や微生物の増殖を抑え、シャンプーを酸化させない重要な役割を持っています。
生物に対する抑制効果がある以上、私たち人間にとっても、当然、何らかの刺激になることが心配されます。
ですから、パラベン無添加は確かに朗報ですし、良い事です。
ですが、パラベンを使用していないこのシャンプーは腐らないのでしょうか?
簡単に腐ったらそれこそ問題ですよね?
そうです、そんな簡単には腐りません。
では、このシャンプーはパラベンなしで、なぜ腐りずらいのか?
答えはシンプルです。「フェノキシエタノール」という違う種類の防腐剤を使用しています。
フェノキシエタノールは、嫌われもののパラベンに変えて配合されていることの多い、パラベン無添加と記載がある商品に良く代用される、典型的なお供え成分です。
では、パラベン無添加とうたうぐらいですから、フェノキシエタノールはパラベンと違って刺激は無いのでしょうか?
そんな事はありません。同じ防腐剤なのだから結局刺激はあります。
こうなると、パラベン無添加! と広告する意味は全くありませんよね?
こんな意味の無い広告を、何故メーカーは描くのかというと、
『無添加』が、メーカー側から見ても意味不明なほど、異様に高い営業数字を持っているからだと思われます。というよりそれしか考えられません。
要するに『無添加』っていえば数字が上がる、しかも嘘をついてる訳ではないから、描かない理由は無いというわけです。
極端なことを言えば、パラベンを防腐剤として配合したシャンプーに
無添加 ※フェノキシエタノール
と記したとしても、広告としての役割は果たせてしまえるとも言えますよね。
ですから、私たちとしては、本気で防腐剤の配合の無いシャンプーを探したいのであれば
といったシャンプーを探さなければならない訳です。
ちょっと厳しい論調になってしまいましたが、やはり、防腐剤に対する変な誤解を生んでしまうと分かっているにもかかわらず、平気で説明や根拠なしに、いきなり『パラベン無添加』で終わるシャンプー広告は姑息に思えて、どうしても許せませんw
パラベンとフェノキシエタノール、両者を比べるほど無添加広告の無意味さが見えてくる
※写真はボディーソープのものです
せっかくパラベンとフェノキシエタノールという、無添加広告の代表が出てきたので、もう少し見ていきましょう。
実際のところ、パラベンとフェノキシエタノール、どっちの方がより好ましい防腐剤なのか、、、
結果から先にいってしまうと、パラベン、フェノキシエタノールともに、刺激物である事は間違いないのですが、優劣を決める事は難しい。となってしまいます。
1、刺激の強さは曖昧できっちり数値化出来ない
単に殺菌力だけでいえば、パラベンの方が強いとされています。
殺菌力が強い=刺激が強いという理屈だけを見れば、なるほど、パラベンの方が刺激が強いというのもうなずけますよね。
しかし、実際は、殺菌力だけで刺激性は決まりません。
刺激物と言うのは、トラブルを引き起こす可能性があるものの総称であり、比べる条件はいくらでもあります。酸、アルカリ、電荷にどう影響するのか、口に入ったらどうなのか、石けんと併用したらどうなのか、脂性肌ではどうか、乾燥肌ではどうか、、、といった具合に切りがありません。
なので、刺激があるとする成分の刺激性を数値化して比べるのは難しいのです。
実際、パラベン、フェノキシエタノールなどの刺激が心配される成分は、法律によって、具体的な根拠無しに漠然と危険な可能性があると定められていて、その上で、配合量に制限がかかっています。
両方ともシャンプー100gあたり、1gまでの配合にすること
と定められています。
根拠もなく非常に曖昧ですよね?
ですが、少なくとも国は、『両者の危険度を同等』とみているともいえますよね。
2、単体での刺激差があったとしても、配合量に差がある
パラベンに比べ、フェノキシエタノールは殺菌力が低いために、配合量は多くなる傾向にあると言われています。
シャンプーには、消費期限を記載するか、3年間の品質保証が義務づけられていて、ほとんどのシャンプーは後者を選んでいます。
なので、いくら殺菌力が低いフェノキシエタノールを選んだとしても、同等の殺菌力を持たせるために配合量が増えてしまうことがあるというワケですね?
3、パラベンとフェノキシエタノールの防腐効果
パラベンとフェノキシエタノール、刺激性からみてどっちが優秀か比べるのは難しい事はお分かり頂けたかと思います。
では、肝心の防腐効果で比べてみるとどうかというと、
前述のように殺菌力こそパラベンが上とされてますが、効果のある細菌や微生物に違いがあることが明らかとなっているようです。
パラベンはフェノキシエタノールに比べ、非常に広域の細菌や微生物に有効とされていますが、フェノキシエタノールはパラベンでは効果の低い一部の細菌、微生物にも効果があると言われています。
この事から、防腐効果だけで見るのであれば、両方採用したシャンプーが一番優秀といえますね。実際、両方を採用しているシャンプーも存在します。
パラベン無添加の裏側
防腐剤には、腐らないというメリットもある。
- 防腐剤には配合制限がかかっている分、どの防腐剤が配合されていても一定の安心が持てる背景がある
- ある意味、パラベン、フェノキシエタノール同時配合が効果範囲が広くなるために優秀ともいえる。
- 本気で防腐剤無添加のシャンプーを探すのは難しいw
無添加広告によってパラベンを悪者にする事で、これだけ多くの効果や実体が隠されている訳です。
このことを考えると、パラベン無添加は、意味がないを通り過ぎて真実を淀ませる詐欺的な営業とも言えてしまうわけです。
無添加シャンプーは自分で決めよう!添加物とは、私には必要ない物!
いかがでしょう、無添加広告の一部をちょっと掘り下げてみただけでも、シャンプー広告のずさんさが垣間見えたのではないでしょうか?
自然由来
アルコールフリー
植物エキス配合
etc、etc、、、
これらの広告を真に受けると、あたかもシャンプーは、自然界が大自然を材料に生んだもの! といった印象さえ持ってしまいます。私自身、気を抜くと、山奥から湧き出した、そんなイメージでシャンプーを使っている事がありますけどねw
現実は、もちろん違います。
工場で化学知識に基づいて選別、抽出された薬品をしっかり計算して混合されて出来上がる訳です。
広告の裏側にあるこの化学に基づいた徹底した精製方法こそ、シャンプーが安全である根底を支えていて、この根底がしっかりしているから、ギリギリ嘘ではないこれらの広告が許されるとも言えると思いますから、良くわからない話ですよね?皮肉な物ですw
メーカーにとって『添加物』とは、何か?というと、、、
商品販売にあたって『悪者にしたい成分』です。
悪者にしたい成分なんて聞くと、メーカーが、白いものを黒と言うくらい無茶苦茶やってるみたいな印象を受けがちですが、パラベンの例をみても分かるように、そこまでずば抜けた嘘を言ってるわけではありません。
悪者にする成分には、必ず「根拠」があります。
その根拠に目を向け、全成分表示から見いだしていけば、化粧品の選び方、使い方は激変していきます。
正しい成分の見方を1つ1つ身に付け、シャンプーに限らず物の見方を変えていくことをオススメします。