髪は頭皮から生まれます。髪が生まれてくる頭皮のケアをすれば、クセの軽減になるでしょうか?
もともとくせ毛でない人でも、頭皮のトラブルによってくせ毛になることがあるようです。加齢やストレス、生活次第では、髪に届く栄養に波が出たりすると日によって生える髪の太さが変わったりすることがくせ毛になる原因のひとつです。
つまり、頭皮の状態によって、生えてくる髪の質が変わってくることは充分あり得るということです。ですから、有効な頭皮ケアを頑張れば、良質な髪を安定して生むことが期待できるので、本来のクセの悩みを軽減できるかもしれない、ということです。
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くせ毛ケアで意識するのは、曲がった髪だけじゃ足りません
私は、くせ毛でない方に、
- くせ毛がうらやましい
- くせ毛は活かせばカワイイ
などと言われると、「キレイ事言わないで」などと思ってしまいます。
私にとってくせ毛は「うねりやハネ」「手触りの悪さ」「見た目の悪さ」など、悩みの種でしかなく、自分を苦しめるツライものだったからです。
でも、今回くせ毛の研究をしてみて気づけたことがあります。
ということです。
にもかかわらず、私はヘアケアにはあまり時間をかけないズボラ性格なので、それが、悩みの種である広がりやパサつきなどの症状を引き起こしていたのです。
つまり直接の悪者は、くせ毛ではなく、私のケア方法が悪かったと言う訳です。
くせ毛の悩みは、必ずしも単に曲がった髪から引き起こされるという訳ではないのです。
くせ毛でも、正しいケアを行うことで、広がりやパサつきなど、一部の髪の悩みは解決できる可能性があります。
その悩みさえ解決できれば、くせ毛は「憎まれ者」から「ひねくれてはいるが愛嬌のあるヤツ」くらいには思えるようになるのではないでしょうか。
そのために欠かせない強力な助っ人が、様々な刺激から身体を守るシールドの要「頭皮」です。
私は、キューティクルのケアに加え頭皮ケアを行う事で、髪が更に健康でキレイになっていくことを実感しました。すると、不思議とコンプレックスだったくせ毛は、むしろ素直な自分の姿、自分の一部として向き合えるようになりました。
頭皮ケアってどんな事?
頭皮のケアは、キューティクルのケアに比べて慎重なケアが求められます。
髪の毛は痛みを感じない言わば死んだ細胞の繋がりですが、頭皮は生きています。
生きてる以上様々な仕事を抱えています。ですから、頭皮をケアするといことは
- 頭皮の仕事をジャマしない
- 頭皮をダメージから守る
- 頭皮の仕事を手伝う
といった意識を心がける事が基本となります。
健康な髪を生む頭皮をいたわれば、コシとツヤのある髪が増え、くせ毛の悩みの軽減が期待されます。そのために頭皮のことを知り、適切なケアを施せるようにしていきましょう。
まずは頭皮の仕事について詳しく見ていきます。
知らぬ間に働く頭皮のお仕事
頭皮の仕事は主に体内部を守ることです。
頭の最も深い部分には大切な脳みそが入っていますから、守りも厳重です。
脳は骨、皮下組織などに守られているのですが、一番外側、最初のシールドが髪を含む頭皮にあたります。
頭皮は「髪」「皮脂膜」「角質層」「常在菌」の主たる4重のシールドが備えられています。この4つのシールドをもって、紫外線、細菌や異物などの外部刺激の侵入から大切な頭を守っています。
第1のシールド 髪
頭皮には、毛穴がいくつもあり、同じ毛穴から平均2、3本の髪の毛が生えています。
髪の毛は死んだ細胞の積み重ねでできていて、主に紫外線などの外部刺激から生きた頭皮を守ってくれている、第1のシールドと言えます。
シールドになる髪は、毛穴の奥で、毛細血管に流れ着く血液から栄養をもらって、細胞分裂を繰り返し伸びていきます。ですから、健康な髪の育成に、頭皮の血行促進が重要とされているのです。
髪はファッションの一つとして見られる事が多いですが、本来は頭を守るためのものです。
とは言え、くせ毛の私たちにとってファッション(第一印象を左右する、ルックスの善し悪しを決める)としての髪が重要ですよね。髪型1つで気分のアップダウンはかなり影響されてしまいますからね。。。
頭皮内の血行を良好に保つことで、髪の太さ一定にし、タンパク質を充実させる事が出来れば、くせ毛の軽減が期待できる上に、艶とコシのある髪を育てることが期待できます。
第2のシールド 皮脂膜
頭皮の第2のシールドといえるのが皮脂膜です。
皮脂膜は頭でつくられる天然のシールド化合物といった感じです。どうつくられるのか見ていきましょう。
頭皮の特徴と言えば毛穴が多い事です。
毛穴は髪を生やすだけでなく、皮脂を分泌する仕事があります。
この皮脂が、古くなると匂いや様々なお肌のトラブルを招いてしまうのです。
全て洗い流したくなるところですが、皮脂には重要な役割があります。
皮脂は、汗と混ざることで皮脂膜を形成します。この皮脂膜が毛穴、頭皮、毛髪を包み込み、様々な外部刺激の侵入を防ぐのです。
また、皮脂膜に包まれた毛髪は、光の反射を呼び、天然の髪の艶を生みだします。
適度な洗髪は必要ですが、過剰な洗髪や、一日に何度もシャンプーするなどすると、皮脂膜のない状態が長くなってしまうので、様々なお肌のトラブルが心配されます。
人によって、皮脂の分泌には様々な差があります。自分に合った洗髪スタイルを探しましょう。
第3のシールド 角質層
頭皮もお肌と同じですから、自らのお肌の表面に、角質層を備えています。
頭皮自身は生きていますが、頭皮の表面にあたるある一定の層は、髪と同じく死んだ細胞で出来ています。
肌の内側で生み出された細胞が外側へと押し出されていき、古くなっていく細胞はその過程で、より小さく硬くなっていき、お肌の表面にたどり着く頃には、薄く強固なシールドとなるのです。
この薄く強固なシールドのうち、お肌表面から平均わずか0.02ミリを角質層と呼びます。角質層は4つのシールドの中でも特に強固で、安定してます。まさに守備の要です。
角質層が何らかの理由で機能しなくなってしまうと、他のシールドにも影響が出やすくなり、外部刺激の侵入はより容易となってしまうため、様々な皮膚トラブルの原因となりえます。
そのため、この角質層を健やかに保つことが頭皮ケアにおいて最も重要なケアとなります。
第4のシールド 常在菌
私たちの頭皮には、常在菌が生息しています。
菌と聞くと、除菌しなきゃ!と思ってしまいがちです。たしかに増えすぎるとニキビなどのお肌トラブルを引き起こす心配もありますが、本来、常在菌は頭皮との共存関係にあるいわば頭皮のお友達です。
常在菌は、皮脂や汗など酸性物質を食べ、頭皮を弱酸性に保つことで、弱酸性を苦手とするその他の微生物を寄せつけづらくしてくれています。
そのため、減らしすぎてしまうことは望ましくないのです。常在菌と上手に付き合うことも頭皮ケアのひとつです。
頭皮ケアのポイント
以上、頭皮が持っている4つのシールドをご紹介しました。
4つのシールドがお互いをバランスよく守り続けることで、コシと艶のある、美しく健全な髪が生まれ、くせ毛の悩みを軽減してくれる期待が持てます。
そのため、頭皮のケアで一番大切なのは、頭皮の健康の維持が基本です。
具体的には、
- シールドを傷つけない
- シールドをダメージから守る
- シールドの仕事を手伝う
ことです。
頭皮は日々いろんな刺激と戦ってくれています。その戦いの中で、さまざまなダメージをうけ、シールドとしての機能が低下してしまうことがあります。
シールドとしての機能が低下してしまうと、様々な悪影響を経て、太さにバラつきのある髪が生まれたり、艶のないパサついた髪が生まれてしまう恐れがあるわけです。
ただでさえ、くせ毛の人の髪はそうなりがちなので、くせ毛の人ほど、頭皮ケアをおすすめします。
では、頭皮の持つシールド機能を守り、助けていくにはどんなケアを取り入れていけばいいでしょうか。大切なポイントは以下の点です。
- 頭皮の血行促進をする
- 皮脂膜がほどよく作られるようにする
- 角質層に潤いを保つ
- 常在菌が育ちやすい環境を作る
頭皮の血行を促進して、タンパク質たっぷりの健康な髪を生もう
頭皮は大切なシールドの一つである髪を育てるために、日々、髪の根元に健康な血液を送っています。しかし、睡眠不足や食生活の乱れ、加齢などの要因で、髪に必要な栄養が届かなくなってしまう場合があります。
そのため、頭皮をマッサージして血行を良くするケアを取り入れることがオススメです。
血行促進には、マッサージグッズや唐辛子エキス配合のケアアイテムなど、様々なものがありますが、私は「椿油」を利用した頭皮のマッサージを続けています。
低刺激とされる椿油は、40歳を過ぎて弱り始めた私の肌でも比較的安心感をもって使えますし、血行促進に加え、毛穴の適度なお掃除も期待でき、さらにキューティクルのくせ毛対策にも効果が期待できるとのことでおすすめです。
一回のケアで、いくつもの効果が期待できる点が、めんどくさがりの私にはぴったりで大変気に入ってます(笑)。
また、塗る時に、香水用のロールオンボトルに詰め替えて直接頭皮に塗るようにすれば、マッサージにもなりますし、頭皮全体に簡単にまんべんなくぬれるのでオススメです。
頭皮の血行を良くして、たっぷりと栄養の詰まった健康な髪を産み出し、くせ毛の悩みを軽くしていきましょう。
あなたの「程よく」洗うはどのくらい?自分のシャンプースタイルを探ろう
私は、皮脂膜を知らない頃は、皮脂は汚い・悪いものというイメージを抱いてとにかく皮脂を落とすことに躍起になってました。皮脂は、体内部の毒素が抽出されたもので、取れば取っただけお肌も喜ぶと当然のように信じていたのです。
ところが、皮脂にも、皮脂膜という役割があり、常在菌との見事な連携で頭皮を弱酸性に保つという重要な要素であると知りました。
そんな重要な役割をもつ皮脂を、何も知らずにとりすぎると、体は、シールド機能を立て直すために慌てて皮脂を分泌しはじめます。その皮脂をまたキレイに洗い流すと今度は、前回よりも多量の皮脂を分泌するといった現象が起ることがあるそうなのです。
洗う私たちにしてみれば、ベタつきが更に気になってより強く洗浄してしまうし、洗浄頻度もどんどん上がっていきます。体はというと、どんどん皮脂分泌を増やしていってしまうのです。皮脂を作るにも栄養がいりますし、まさに負のスパイラルです。
さらに皮脂の洗い過ぎは、常在菌の育つ環境を考える上でも問題です、常在菌は皮脂を食べて頭皮を弱酸性に保っているからです。
そのため、過剰なシャンプーには気をつけなければなりません。
ただし、皮脂は落とさないのも問題です。通常の生まれて間もない皮脂に問題はないのですが、時間がたって酸化した皮脂は、臭いの原因となり、放置すれば毛穴詰まりや様々な皮膚トラブルの原因となる恐れがあります。
そこで、
- 重要なのは「程よく洗う」
です。
この「程」ですが、人によって皮脂の量や性質が変わるため、一概に言えることが出来ません。自身の体質や、日によって変わる頭皮状況を見ながら、自分に合ったスタイルと調整が必要になってきます。
それには2つのポイントがあります。
お風呂の頻度
シャンプーは毎日しないと髪が臭いのではと不安に思っている人が多いかもしれませんが、むしろ、洗いすぎの心配があります。
今でこそ、毎日お風呂に入る人が多いですが、これは昭和初期の銭湯の登場から始まった風呂文化の進展の結果のようです。
銭湯が登場した1926年頃、お風呂は月2回程度が普通だったとか。
1970年頃内風呂の登場により、平均週2回程に増え、1985年頃、朝シャンブームや洗面化粧台ハンディシャワーの登場を得て、ようやく今日のような毎日お風呂が当たり前になってきたとの事です。
ですから、「毎日お風呂に入らなくてはならない」と「思う」必要は全くありません。
毎日髪を洗わないとかゆくて我慢できない!とか、脂性肌など体質によっては毎日のシャンプーが必要かもしれませんが、そうでないならシャンプーの頻度も毎日でなくていいんです。
私は、髪を洗うペースを2〜3日に一度くらいにして、運動して汚れた日、汗をかいた日などにプラスする感じにしていますが、特にお肌トラブルもなく、匂いなどの問題も出ていません。
頭皮や体は環境に適応しますから、極端にシャンプー回数を減らすなどの急激な変化を加えることは頭皮環境によくありません。自分の状態をみながら段階的に調整するようにしてください。冷静に自分の頭皮をみて、状況にあった洗髪頻度をさぐっていきましょう。
シャンプー選び
皮脂はすべてとりきることが望ましいわけではありません。ある程度残すのがベストです。ですが、実際皮脂がどの程度残っているかなんて、自分の感覚じゃわかりませんよね?
そこでおすすめなのが、
- 「低洗浄力シャンプー」の使用
です。
洗浄力の弱いシャンプーは、汚れを落としながらほどよく皮脂を残してくれるんです。
シャンプーの洗浄力は、使用されている洗浄成分の系統ごとに違っています。
今使っているシャンプーより一段低い洗浄力のシャンプーを選び、慣れてきたら、さらに低洗浄力のシャンプーに切り替えていくと違和感なく移行できます。
低洗浄力のシャンプーは、どうしても泡立ちが足りない、スッキリ感が得られない、ということが多いですから、急にがっつり低洗浄力のシャンプーに手を出してしまうと、その良さを実感できないまま「私には合わなかった」という結論を急ぎすぎてしまう場合があります。
それではもったいないので、低洗浄力シャンプーの使用感に不安がある場合には、系統による洗浄力の特徴を押さえて段階的に変えていくような試し方をするようにしましょう。
シャンプーは洗浄力以外にも仕上がりなどに相性があります。自分に合った低洗浄力シャンプー探しをおすすめします。
シャンプーの刺激とは?頭皮に優しいシャンプーを選ぼう
頭皮の働きを助けたり、守ったりするためのケアを取り入れていく事は大切ですが、とにかく重要なのは「頭皮の仕事をジャマしない」ことです。
そのために「シャンプー」に目を向けることは深い意味があります。
シャンプーには、皮脂や油汚れを吸着して洗い落とす成分、界面活性剤が含まれています。
この界面活性剤が角質層などの頭皮を刺激してしまう心配があります。
とはいえ、頭皮のタンパク質が汚れと一緒に、溶けて洗い流されてしまうというほど恐ろしいものではありません。高度成長期時代の刺激が強く環境問題などにも発展したシャンプーのなごりで、ちまたでは、さも恐ろしげな警鐘が鳴らされてますが、現在のシャンプーは研究がすすみ、それほど恐れる必要はありません。
それでも、頭皮への刺激は少なからず必ずあります。
頭皮のタンパク質は様々な化学結合で構造を維持しています。
界面活性剤は、一部の化学結合を弱めてしまうおそれがあり、結果、本来のタンパク質の構成になんらかの影響を与える恐れがあるということです。
そもそも、界面活性剤である以上、どんなシャンプーでも、少なからずこの刺激は必ずあります。ですが、界面活性剤の種類によって、刺激の程度が変わってきます。なぜ、刺激の程度が変わるのかと言うと、タンパク質の構造を維持するさまざまな化学結合のうち、比較的重要な力、イオン結合への影響に差が出てくるからです。
ではどんな種類の界面活性剤がイオン結合に低刺激かと言うと、
- 「アミノ酸シャンプー」が比較的刺激が低い傾向にあり
おすすめです。
アミノ酸シャンプーとは、界面活性剤の油を吸着する部分に、アミノ酸系の成分を使用した物の総称です。アミノ酸シャンプーは低い洗浄力に加え、頭皮と同じ成分であるアミノ酸で出来た洗浄成分を持つのが特徴です。
頭皮への低刺激はもちろん、低洗浄力であることは、お肌が弱くなり、分泌する皮脂量の減る傾向にある、40代を迎えた頭皮には特におすすめです。
高刺激の界面活性剤では、角質層へ少なからず悪影響を与え、保湿力の弱まりやシールドを弱らせてしまうなどが心配されます。
低刺激系のシャンプーを使って頭皮のお仕事のジャマをしないようなケアを取り入れて、クセの少ない健康な髪を育てられるようにしましょう。
【まとめ】知らぬまに頭皮は傷つき、自ら立ち直っている!愛すべき頭皮を守ろう。
私たちの知らない内に、頭皮をはじめとする、私たちのお肌は、常に何らかの刺激から、体内部を守ってくれています。そして、自ら傷つきつつ、再生することを繰り返しているのです。
頭皮に与えられる刺激は、紫外線や細菌、ウイルスや、私たち自身が引き起こす、シャンプーによる摩擦、皮脂の取り過ぎ、界面活性剤の刺激など様々です。
日々そういった刺激から身を守りながら、受けたダメージを自ら回復し、常に均衡を保とうとする力が備わっているとは、人体の持つ生命力のすごさ、再生の力とは本当に偉大なものです。
頭皮のケアには、そういった働きを助けたり、ダメージを補修するようなアイテムを取り入れる事も大切ですが、本来備わっているその力をとにかくジャマしない、ということを考えることも大切だと思います。
私は、頭皮の働きについて勉強する前は、徹底した除菌や過剰な潔癖を体に強いていました。よかれと思ってやっていた事が、結局は頭皮のお仕事をジャマして、それだけでなく、頭皮を傷つけて余計な仕事を増やしてしまっていたかもしれません。
頭皮の働きを知った今では、感謝を込めて頭皮をいたわっていこうという思いに変わりました。
40歳を越えて、今更遅いかな、、という思いもよぎりましたが、年を取るとケガの治りが遅くなったりしますよね?今更ではなく、今だからこそダメージケアに気を配るべきだと思います。
頭皮の働きをジャマせず、時には頭皮の備えるシールドのメンテナンスもしながら、頭皮を助けるケアをしていくことが健康な髪につながり、くせ毛の悩みを軽くしてくれることになります。
髪のツヤとハリを取り戻し、少しでも広がりやパサつきを抑えて扱いやすい髪にするために、いたわりを持って頭皮ケアを続けていきましょう。